<痛みは体からのサイン>
痛みというのは自覚症状のひとつです。
自覚というのは感覚が自分の意識に挙がるということで、(無意識下では修正しきれない問題があり、
意識上に挙げてその問題を率先して解決して欲しい)という体からの欲求といえます。
ですから、腰が痛いのもー解決して欲しい問題があるよ*気付いて*という脳からのサインを痛みとして意識がキャッチしているというわけです。
日々の生活や仕事に支障をきたすまでにしつこく痛みを感じさせ続けるというのは、
それだけ腰痛を引き起こす原因が体にとって脅威的であり極端に言えば、(放置しておけば生命の危険に至る問題)だと、私達の司令塔である脳は判断しているわけです。
すなわち、脳は腰痛そのものではなく、腰痛を発してまでも知らしめようとしている根本的な問題を解決して欲しいのです。
根本となる問題を解決することで初めて腰痛は本質的に解消されていくことになります。
何より根本的な問題がはらんでいた(生命の危険)を未然に防ぐことになり、その恩恵は計り知れません。
しかし、残念ながら根本的な原因は現代医学では解明できていません。
答えの見えない腰痛治療の現状で、私達は何を手がかりに自分の症状と向き合っていけば良いのでしょうか?
<生理的要素>
腰痛を語る上で、これだけは理解していないといけない事柄として生理があります。
生物にとってまっとうな状態のことを、生きる理(ことわり)と書いて生理といいます。
無生物とは違って生きることを宿命づけられているのが生物であり、その中でも私達人間は動くことに生きる活路を見いだしている動物の一種です。
まずは動物にとっての生理的要素を考えていきましょう。
動物にとって特に大切な生理的要素は3つあります。
捕食、生殖、移動です。これらをまとめて三大生理的要素と言われており、動物が生きていくのに欠かすことのできないものです。
捕食とは食べて個を維持することで、生殖は種を次世代に繋ぐことです。
移動とは目的地まで自分を動かす事であり、動物が生きる根源になります。
私達は人間ですので、移動と言えば歩行です。私達にとって歩行することは食事をとることと同じように欠かせないものであると言えます。
(私最近歩いていない)というのは(私最近食べていない)というのと同じぐらいありえないことなのです。
あなたは健康の番組や記事で(歩行などの適度な運動を行いましょう)という専門家からのアドバイスを耳にしたことはありますよね。
昨今は医療機関でもさかんに歩くことを勧めています。これはとても良いことだと思いますが、惜しいことに、なぜ歩くことが良いのかという説明が足りていないようです。
そのせいで(本当に歩くのが良いのだろうか)と不安になって結局歩くのをやめてしまったり、間違った歩き方をしてしまったために逆に症状を強めてしまい、歩行が悪者になってしまうケースも多々あります。
そうならないためにも、まずは私たちそのものの成り立ちを知ることが大切です。
<私達は歩いて人間になった>
私達の祖先はサルから立ち上がって人類になりました。
はじめはほとんどサルと変わらない見た目であったと思いますが、そこから約700万年ものあいだずっと歩き続けてきたことで、現在の人間の形になりました。
つまり、私達は歩くことで今の体の構造と機能を作り上げてきたのです。
もちろん、長い歴史の中では走ったり泳いだりもしていますが、圧倒的に歩行に時間を割いてきているのです。
そして一番大切なことは、歩くことが今の状態を作るのであれば【現在問題を起こしてしまっている場所があっても、歩くことで正常な状態に修復される】ということです。
脳がしつこく警笛を鳴らしてきた(生命の危険すら感じる問題)が歩くことで知らず知らずのうちに改善していけば、長年自覚されてきた腰痛ももう痛む必要がなくなり治まっていくのです。
たとえ現代医学が腰痛の基本的な問題を特定できていなくても、歩行の恩恵にあずかることが出来た人は沢山いるはずです。
大この方の経験や統計データを根拠として【歩きましょう。歩くと良いですよ。】と流布することもできるのです。
実際、骨のつくりひとつとっても、歩くことを前提にしたつくりであることが見て取れます。
全てが理にかなっており、知れば知るほどに歩行の大切さと体の構造の巧妙さに感動を覚えます。
とても奥深い歩行ですがその全てをお伝えするには紙面がいくらあっても足りませんので、
ここでは腰痛の問題に特化して歩行の持っている効果を次回から説明していきます。
仙人接骨院 仙人哲哉